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RICOH

PRISM、3L|未来の価値創造R&D事業における、体験設計・音響プロデュース

Expertise

企画コンセプト提案 / コンテンツ体験設計 / サウンドプロデュース / サウンドデザイン / 音響設計プロデュース

Outline

未来はたらくについての研究拠点RICOH 3Lと、その中にある未来の会議室RICOH PRISM。

LadaはRICOHメンバーと共に、拠点の建設前から様々な実証実験やプロトタイピングに参画し、はたらく場やコミュニティにおける価値創造とは何か?という漠然としたテーマに対して、課題の掘り起こしや、そこから導き出せるコンテンツ企画の提案などを行ってきました。

また、データ活用やセンシングなどの技術と音の接点も積極的に見つけて実証実験を繰り返すことで、これからの時代における音響設計プロデュースの可能性も探究しています。

Process 1. サウンドマップを用いたトータルサウンドプランニング

”チームの創造力を高める”未来の会議室を作るというコンセプトの元に集まったRICOHメンバー、外部パートナーに、あらゆる音楽のトーンが持つ、人への身体的・心理的影響を可視化しながら提示し、PRISMが必要とするトーンについてのディスカッションを重ねました。

具体的なコンテンツを作る前に、空間の存在を音からどう定義できるか考察したこの期間はその後続く本プロジェクトに置いて重要なフェーズ0となりました。

Process 2. 未来の会議室PRISMのコンテンツ体験設計・サウンドプロデュース

壁面+床の5面投影と10.1chのマルチチャンネルサウンドシステムで構築されたPRISMには、交える(GATHER)/旅する(WANDER)/整える(TUNE)という3つの領域に分かれた、多数のコンテンツが生まれることになりました。

”チームの創造性を高める”という中核のコンセプトに対して、Process1を指針にしたトータルサウンドプロデュースを行う過程で生まれた、新たな課題共有とディスカッションをRICOHメンバーと重ね、「集中力をサポートする」「自分と向き合う」といった新しい体験企画のコンセプトメイク・体験設計作りをLadaとして提案し、形にしてゆきました。

Contents 1. SHIRO コンセプトメイク / カスタマージャーニー設計 / ジェネレーティブサウンド・ビジュアル設計 / サウンドデザイン

PRISMのOSとしての立ち位置であるSHIRO。基本の会議室として機能しつつ、チームの状態を映し出すことでより良い雰囲気にするヒントを与える部屋を作ることにしました。

チームの状態という漠然としたものをキャッチさせるアウトプットとして適切な体験設計・サウンドデザイン・ビジュアルデザインはどんなものかを、週1回の実証実験で双方向からテストを繰り返し行うことで深堀りし、下記の様なジェネレーティブなサウンド設計と、オーディオビジュアル的に変化する壁面の情感レイヤーを開発しました。

ジェネレーティブなサウンド演出設計

Contents 2. NEURO DRIVER コンセプトメイク / カスタマージャーニー設計 / サウンドを含めたインタラクティブなUXデザイン / サウンドデザイン

チームに働きかけるコンテンツが複数生まれる中、自分に向きあう空間を作る必要があるという議論を元に、NEURO DRIVERを企画提案し、コンセプトメイクからUXデザインまで行いました。

はたらく中で自分と向き合う必要性やタイミング、その方法などを、ペルソナの設定やカスタマージャーニー設計のブラッシュアップを繰り返すことで構築し、「過去にとらわれず、未来に臆せず、身体を動かし今に集中する」というコンセプトを提案しました。

身体感覚の拡張を軸に、センシングしたデータ活用を行うというデジタルコンテンツでありつつ、太極拳というスタイル・様式を掛け合わせ、普段ユーザーを取り囲んでいる過剰な情報スピードから遮断し、身体のチューニング・集中力の向上を提供するこの体験は、働くという普遍的な行動と、未来のはたらくに対して必要なチューニングをする、PRISMらしいコンテンツとなりました。

Process 3. はたらく場と人のセンシングデータを活用した”音の庭”を設計 企画提案 / コンセプトメイク / ジェネレーティブサウンド設計

多数のプロジェクト・チームが存在するRICOH 3L。その中で最も自由な交流が生まれる場所 Bar Life Work。

様々な活動を営む多様な人々が、1つの3Lという”場”で持つ、繋がりや交流を、音にして還元するというコンセプトを、「3L soundscape」を企画コンセプトを提案し、このBar Life Workで実現しました。

その日の気候や空気汚染、また建物の中で活動する人々の発話状況や人口密度などを全て「3Lの環境」とし、そのセンシングデータの変化が音に還元されることで、直接関わっていなくても、ラウンジに一歩入れば建物全体で働く人の活動の豊かさが感じ取れる様な、生きる音の庭を設計しました。

また、このプロジェクトでは特に、取得したセンシングデータをどう活用・還元したらその意味があるのか?という課題に対して、繰り返しコンセプトをブラッシュアップ、テストを繰り返しました。環境センシングや個々の活動データを、音という要素を軸に一つの空間で交差させるこの構想は、コンセプトプランニングからサウンドデザインまで地続きで取り組めたからこそ実現できたアプローチとなりました。

Process 4. 事業化・複製化の音響プランニング

3Lの中にあったPRISMの事業展開・複製化に伴い、音響機材の設計プランニングたや機材選定を行いました。

一度完成した空間を他の場所で再現させるという目的と、新しい場所特有の音響特性や制約・使われ方を加味したアップデートを施し、スピーカーの選定から、バックヤードのオペレーションのしやすさなどを設計し構築しました。

RICOH 担当者様からのご感想 Ladaとのパートナーシップについて

Q1. PRISM、3Lの音体験の設計において、Ladaをパートナーとして迎えて頂きプロジェクトを進める中で、全体的な評価や印象などをお聞かせください。

村田 晴紀 様
RICOH 経営企画本部

LadaさんにはPRISMがまだコンセプト段階のところから入っていただき、音作りを通して、サービス全体のキャラクターや体験設計全体を創り上げてくれました。

特殊空間上で、はたらく行為を支援するというあまり例のない仕事だったと思いますが、大胆な企画から細部にこだわった実装まで、一貫して完璧な仕事をしていただけたおかげで、PRISMは先進的なプロダクトとしてリリースできたと感じています。

Q2. はたらく場や人における課題や視点に対して、音のアプローチで良い方向へ導くチャレンジを一緒に取り組む中で、Ladaが貢献できた部分や感じたことがあれば教えてください。

村田 晴紀 様
RICOH 経営企画本部

PRISMでの知見を生かして、その後3Lという施設全体の音のあり方、生活するようにはたらく場所の音環境がどうあるべきか、そして創造的である音作りとは何かを考えて企画を提案していただきました。

Ladaさんは特に、空間のメインユーザーとなるクリエイターの精神状態に寄り添った優れた企画を提案し、その優れた実行能力で、あるべき音環境を3Lに実装していただきました。現在も、弊社社員はLADERさんの企画した音に包まれて活動をしております。

Q3. 今後も未来への価値創造に向けて様々な取り組みを続けられると思いますが、音に対して期待する部分があれば教えてください。

村田 晴紀 様
RICOH 経営企画本部

音は五感として脳と直接繋がっており、個人の創造性を引き出すためにとても大事な要素と考えています。

加えて、人と人の会話という、これまでずっと人が行ってきた原始的なコミュニケーションであり、これからもずっと続く創造性を育む人間の行為において、音環境はどう会話を支援すべきなのか、まだまだ可能性が残されています。

今後、我々がはたらく人の環境への価値提供を続けていく中で、音を起点とした企画力と実現力で、引き続きお力添えいただけますと幸いです。

音作りや音響設計、体験設計について

Q1. Ladaとのチームアップをしてみて、音作りや音響設計に関していかがでしたでしょうか?

加藤 裕也 様
RICOH Fw:D-PT

主にWOW、ANIMA、SHIROといったPRISMのポテンシャルをフルに活かしたコンテンツでご一緒させていただきました。

WOWやANINAでは音に包み込まれることでよりその世界観への没入ができ、SHIROでは時間を忘れて没頭できる心地よさがありました。

コンテンツ開発ではビジュアルや機能面が先行しがちでしたが、Ladaさんの音がコンテンツの解像度を上げ完成度の高いものに仕上げていただきました。そのたびに音が人に与える印象や影響の強さを実感しています。

PRISMが様々な個性のコンテンツを切り替えて利用しても自然に体験できるのは、Ladaさんの音作りや細やかな調整があり実現できたと思っています。

Q2. PRISMの体験プログラム開発にあたって、音作り以外の体験設計の部分も参加させて頂きましたが、Ladaの貢献度はいかがでしたか?

高野 洋平 様
RICOH Fw:D-PT

Ladaさんにご協力いただいた体験設計では、人の動きや感情が緻密に織り込まれた場面展開が設計されており、特に没入感の高い体験を創り上げていただきました。また、多様な文化への造詣が深く、「はたらく」という比較的堅いテーマに対しても斬新で奥深い世界観を構築していただきました。Ladaさんの豊かな感性とそれを体験に落とし込む設計力で、飽きさせない魅力的なコンテンツがいくつも生まれたと感じています。

Q3. PRISMを完成させるプロセスで、音作りや音響体験設計に関して、感じたことや気づいたことがあれば教えてください。

木村 優太 様
RICOH Fw:D-PT

Laddaさんには2度、PRISMに音を宿していただきました。

1度目はPRISMを0から作った時で、音と映像を組み合わせてユーザーの行動や気分を変化させるような新しいことに共にチャレンジしていただきました。

2度目はPRISMの増産です。PRISMを広めていくには、体験としてクオリティの劣らない空間を別の場所で再現する必要がありました。1度目とは対照的に、既にあるものの再現に協力していただきました。

新しい音の価値を探索し共に創ることも、お手本があるものに対して堅実に音作りをすることも、どちらもできる頼れるパートナーです。